2019年2月 4日 (月)

豊島与志雄「丘の上」メランコリー幻想集読了

昔の作家。芥川、太宰等。神経病みの短編集と言ってしまえば簡単だろうが。私は最後の「絶縁体」が好きだ。私の生まれた年のの作品だ。変人だろう、年の離れた娘と息子の三人暮らし。娘もジフテリアで亡くしてしまう。近所付き合いもせず毅然と生きていく。今の世の中人生100年とか言い、定年退職後、いかにコミュニティに溶け込むかとか、人は本来頼られてなんぼとか老後の生きがい論ばかり読まされているとこの短篇の市来の生き方の方が清々しく感じる。最後の一文、ー市来さんはまだ生きている。この短篇集の前半の神経症的な自伝的なものより後半の支那の話や「沼のほとり」などの近代伝説の方が物語性があって好みだ。豊島与志雄は東大の仏文を卒業、この時の卒業生豊島を含め2名とのこと、そんな時代に生家が没落したため高等遊民になれなかった男の憂鬱。

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2018年12月29日 (土)

『チェコSF短編小説集』ヤロスラフ・オルシャ・jr.編

11作からなる。チェコのみのSF集としては初めてだろう、たいてい東欧のくくりでSF、幻想小説、怪談とかの短編集の中に収められている。
・オーストリアの税関 レム的な皮肉とユーモア
・再教育された人々 題名が違うような。だけど日本の子供虐待や殺人事件、格差を知ると一概にディストピアものを否定できない気分。
・大洪水 チャペックらしい
・裏目に出た発明 こういう世界、ユートピアに住みたい
・デセプション・ベイの化け物 不幸なファーストコンタクト
・オオカミ男 ドウエル教授の首的な 
・来訪者 シマック 空は船でいっぱい
・わがアゴニーにて いい、養護ホームを氏族(クラン)に見立てたよう
・クレー射撃にみたてた月飛行 面白い、バラードの小説は思い出せない ハイハイハイ
・ブラッドべりの影 火星年代記とそれとレムの大失敗 読み応えある中編
・終わりよければすべてよし ユダヤの怨念はいつまでも

もっと新しいのが読みたい、そういえばミハイル・アイヴァスの「もういひとつの街」はチェコだった。いまいちだったので「黄金時代」は未読、そのうち・・・

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2018年12月26日 (水)

積読

Photo_2・時空間を打破する ミハイル・ブルガーコフ論 大森雅子
・丘の上 メランコリー幻想集 豊島与志雄
・交雑する人類 ディヴィッド・ライク
・不気味な物語 グラビンスキ
・宰相の象の物語 イヴォ・アンドリッチ
・チェコSF短編小説集
・奪われた家/天国の扉 コルタサル
・タイタス・アンドロニカス シェークスピア




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2018年12月19日 (水)

『文化水流探訪記』やけのはらを読む

両眼の白内障の手術を受けようやく眼鏡を作成できたので、読書を再開。初めての遠近両用だけどまだピントが合わない。この本はジャケ買いならぬ表紙買い、内容もよくわからず諸星大二郎が出ているのと表紙の魅力的な女性がてっきりやけのはらだと思い購読、ようやく読み終えた。内容的にはJ・G・バラードの「千年王国ユーザーズガイド」のサブカル版と言ったら失礼か。音楽面は知らないことばかり。プレスリーは姉がファンでラスベガス万才とか連れられて観に行った。私のささやかな結婚式で「Night Rider」を歌ってくれた。
♪Cautioned my baby to stay at home Not to leave mama's side♪
1956年のファンがもうママになっている。

あと本編ではないが、東横線白楽の商店街のレコード屋の話に白楽に映画館が2軒あったと書いてある。紅座とロマン座、妙蓮寺の方には白鳥座というのがあり反町には東映があった。家を出て左に行くと駅で学校、行きたくないときは右に曲がり丘を下ると六角橋、紅座はよく行った。一日に3館まわった時もある。朝出て、映画で頭がくらくらして夜帰宅。映画館で隣の席の学生らしき人にバナナを勧められたり。なんかそんな昔のことが思い出された本だった。

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2018年10月26日 (金)

シェイクスピア11『ペリクリーズ』松岡和子訳・ちくま文庫読了

タイアの領主ペリクリーズの苦難の冒険。めでたし、めでたし。ハッピーエンドが好きです。昔の船はよく難破するな。

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2018年9月23日 (日)

シェイクスピア10『ヴェニスの商人』松岡和子訳・ちくま文庫読了

有名な小説。これは昔読んだ気がする。ユダヤ人シャイロックの悲劇。今に続く復讐譚だと思うと気が重い。シェイクスピアは相変わらず軽快に筆を進めているが・・・

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2018年9月11日 (火)

『FUNGI 菌類小説選集』第二コロニー読了

12の短編からなる。元々は第一コロニーと合わせて一冊の短編集らしい。キノコと黴の話。この第二コロニーで面白かったのは「やつらはまずブタを迎えに来る」怪奇アクション。「黒花の微塵」正統ラブクラフト調。「ど真ん中の怪物」怪作。「死者たちの夢見るところ」ぞくっとする。キノコの擬人化が多いのは「マタンゴ」のせいか。「ベルセルク」の妖獣にも男根ぽいのが多い気がするし、なにかキノコは陰湿なイメージもあるのかな。自分はあまりそう気にならないが、それより黴の方が嫌だな。ところで訳者の野村さんは「ミスカトニック大学」中退らしい。

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2018年9月 3日 (月)

『FUNGI 菌類小説選集』第一コロニー読了

11篇からなる黴・きのこ、酵母の怪奇小説集。第二コロニーもある。少し前に買ってこれは「マタンゴ」を先にみなくてはとDVDで「マタンゴ」を見て、ようやく第一コロニーを読み終えた。解説によるとホジソンの「夜の声」あたりがこの手の小説としての源流らしいが、たぶん読んでいると思うのだが、ホジソンは豚の話しか記憶にない。この小説集は結構面白い。お薦めは「タビー・マンガス、真菌デブっちょ」意匠陰毛細工師って。「咲き残りのサルビア」解説にあったが西部劇のような、「明日に向かって撃て」のような読後感。「白い手」架空きのこ辞典、とても詩的。「パルテンの巡礼者」こういう侵略ものがあったとは。「野生のキノコ」ポーランドのキノコ小説(「昼の家、夜の家」オルガトカルチュク)みたいなところもある。他のラブクラフト風のも楽しめた。   

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2018年8月27日 (月)

シェイクスピア9『ウィンザーの陽気な女房たち』松岡和子訳・ちくま文庫読了

翻訳は難しい。今回はウェールズ訛りにフランス訛り。小泉八雲のヘルン語じゃないが、登場人物の人柄をも表現しなければならないから一層大変だ。内容は題名から想像できるように喜劇。フォルスタッフにとっては悲劇か。シェークスピアってなんでもかけるんだな、今更だけど。

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2018年8月 9日 (木)

『折りたたみ北京』現代中国SFアンソロジー ケン・リュウ編

7人の作家による13のSF短編集。率直な感想。中国もやるなという驚き。確かに中国文学の残雪を読むと中国SFがこういう段階にあるというのは不思議はない。どうしてアメリカ人のテッド・チャンと切り離していたんだろう。気にいったのはハオ・ジンファン(中国漢字は難しい)の「見えない惑星」「折りたたみ北京」。「見えない惑星」は解説ではイタロ・カルヴィーノの多分「見えない都市」当たりの影響もとあるが、私はアンリ・ミショーの「幻想旅行記」を思い出した。「折りたたみ北京」は発想そのものはホセ・ファーマーの「デイワールド」ぽいが、よりリアルな感じ。昔、アメリカ自動車産業が合理化しないのは労働者の雇用のためだと言われていたが、未来?の中国でも似たようなものらしい。あとファンタジーなシア・ジア、チョン・ジンボーとかもいい。リウ・ツーシンの歴史「円」はコンピュータが出てきて諸星大二郎の孔子暗黒伝みたい。あと蛇足だがチェン・チウファンの「麗江の魚」は、自分が中学の時書いたSFに似ていた。ストレス社会に対応できない人間に保養地を提供するというアイデアだけど、自分のは結末もよりディストピアだった。変わらないなぁ。それはともかく中国SFは目が離せないな。

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