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2017年3月27日 (月)

カルペンティエール『方法異説』読了

久々のカルペンティエール。サンリオの『この世の王国』についていた短編「亡命者庇護権」を思い出した。相変わらず難しい単語の多い文章だが心地よいリズム感がある。南米の独裁者小説というくくりがあるとは知らなかった。この小説の主人公は第一執政官であり大統領であり典型的な南米の独裁者である。しかし汚職や圧政や虐殺をしていても何か憎めない個性の持ち主で、栄光と没落を味わいながらも絶えず人生を楽しもうとしているように見える。楽天的ないかにもラテン的というのだろうか。「我見る、故に我あり」「我感じる、故に我あり」方法異説、即物的で俗物でパリで過ごすことを愛し、グリンゴ(白人アメリカ人)を憎む。抵抗勢力のリーダーの共産主義の若者を捕らえ、そして簡単に釈放し、結果として革命時に命を助けられる。南米の政治と文化、宗教(なんと聖母の多いことだ。)の錯綜。最後に二人の忠実な僕というかもう仲間に看取られこの世を去る。今までのカルペンティエールの作品と違った風刺のきつい喜劇的作品と言ったら言い過ぎだろうか。このへんが「亡命者庇護権」と通じるところだと思う。本当に面白い小説だ。

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