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2016年12月

2016年12月22日 (木)

『ロシアSF短編集 A.ボグダーノフ、E.ゾズーリャ他』読了

6つの短編。
1.地球の生涯の二日(オドエフスキー)・・終末もの 二つのパターン 
2.不死の祭日(ボグダーノフ)・・アメリカのガーンズバッグのラルフみたいな未来もの。「有機体の自然発生的生成と生命なき物質への精神付与に関する問題」を解決した。この神はあとは何をすればいいのだろう。
3.祖先たち(ステーチキン)・・地底旅行のような失われた世界のような。よりウェットな良作。
4.王の庭園(クプリーン)・・進歩のあとの退廃と人間性。
5.アクと人類の物語(ゾズーリャ)・・明らかな体制批判。アクは共産主義の神。
6.火星に行った男(アレリスキー)・・天才科学者と火星から聞こえる未知の音。余韻を残す。

ロシア・ソ連のSFは面白い。あとがきにある深見弾の創元推理文庫の「ロシア・ソビエトSF傑作集」上下2巻やプログレス出版の短編集「よくできた惑星」以来の短編集だ。個人的にはストルガツキー兄弟の大ファンだが、ロシア・ソビエトSFは長編「蟻塚の中の甲虫」と同様に短編でも奥が深いものが多い気がする。

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2016年12月19日 (月)

『鼠捕り業者 A.グリーン短編集Ⅱ』を読む

「灰色の自動車」に続くグリーン短編集。これも暗い。冒頭の「できごと」の救いのなさ。中編の表題作「鼠捕り業者」は悪夢の世界の中のかすかな希望。流刑地のグリーン一家の写真が印象的だ。

※「髭の豚の水溜り」題名の誤植あり

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2016年12月13日 (火)

『灰色の自動車 A.グリーン短編集』を読む

ほんとに久しぶりのロシアのアレクサンドル・グリーンの小説。ロシアと書いたが、表題作の「灰色の自動車」はソ連になってからのもの。そこには「深紅の帆」や「黄金の鎖」「波をかける女」等の明るさがない。そうだだから灰色なんだ。ここには見世物小屋の眠れる女性を俗世間に見出し、なんとか(人間として)生き返らせようとする男の話。グリーンらしい結末はない。どういうわけか乱歩の「押絵と旅する男」と京極の「魍魎の匣」を思い出してしまった。本来グリーンと無縁の作家たちなのに、まだこの二人の作品の方がファンタジィがあるとさえ思えた。この中では皮肉ははきついが「緑のランプ」はまだ彼らしい作品。

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2016年12月 7日 (水)

ステファン・グラビンスキ『狂気の巡礼』読了

グラビンスキ「動きの悪魔」に続く2冊目のホラー短編集。一応箱入りの凝った装幀。さすが国書。これも14作品からなる。「薔薇の丘にて」これは最高。においの話。インディアンの精霊「煙の集落」もよい。全体に読みやすい。翻訳のせいもあると思うが、怪奇小説でありながら全て理詰めの説明がある。「チェラヴァの問題」なんかは幽霊狩人カーナツキや心霊博士サイレンス、妖怪ハンター稗田礼二郎みたいな合理的説明?のある怖くない探偵ホラー。シャーロック・ホームズが変装して阿片窟に行った話を思い出した。訳者がレムの「ロボット物語」に遠いこだまのような影響が感じられると書いている。「ロボット物語」はもう内容を覚えていないが、短編でタイムマシンを作った人間が未来についた時には白骨化していたという話や「マスク」にはグラビンスキ的な理詰めの暗さがあるかも知れない。だけど「動きの悪魔」の感想でも言ったがラヴクラフトは私はあまり感じられない。訳者が薦める「領域」についてもラヴクラフトならもっと含みを持たせ読者を怖がらせるように書くと思うがどうだろう。どちらかというとエリアーデの「ホーニヒベルガー博士の秘密」の方に近い。こちらはもっとハッピーだが。

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