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2016年2月17日 (水)

ボフミル・フラバル『時の止まった小さな町』を読む

「剃髪式」の続編というが、マリシュカはほとんど出てこない。小さいフラバルが胸に帆船の代わりに裸の人魚の刺青を彫られるというショッキングな話から始まるが、殆どは夫のフランツィンとその兄のペピンの兄弟の物語。「剃髪式」のテーマが短縮、進歩ならこの物語は減速し停滞する世界。マリシュカの出番はない。ペピンおじさんの華々しさ、弟の実直さ、対をなすがお互いへの愛情が切ない。おじさんの最後の言葉「あの愛はどうなる?」。酒場の女たちへの愛だろうか、兄弟愛だろうか。時が止まる前の世界への愛だろうか。おじさんの愛に満ちた人生。フラバルらしい、いい小説だ。最後の訳者あとがきがわりのヌィンブルク紀行も良かった。

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