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2015年3月

2015年3月12日 (木)

パトリック・ドゥヴィル『ペスト&コレラ』読了

ペスト菌(Yersinia pestis)の発見者、アレクサンドル・イェルサンの生涯。コレラについては殆ど出てこない。ペスト菌の発見の場面も居合い抜きのような勝負。北里柴三郎の完敗、往生際の悪さ。この題名はパスツールとコッホの両巨頭の確執に隠れた政治と宗教に囚われない天才実務家(こういう言い方があるのか)について書かれている。多分、題名はコレラについても同じようなことがあると示している。イェルサンの幅広くて精力的な活動にも関わらず、なぜかこの本を読むと中島敦の「風と光と夢」のスティヴンスンの生涯を思いだされる。(と書いたら「ル・ポアン」誌に「スティヴンスン流に非日常的、ヴェルヌ作品のように謎に満ちていると評されている」とのこと、こちらは多分に作品についてのことだろう)。イェルサンはスティヴンスンとは違い自分の王国を自力で作り上げた。しかしその安寧さに共通するものを感じる。ついでに言えば、別にランボウとかセリーヌとか持ってこなくとも十分に面白いし、もっと母や姉とのやりとりを出せばより良かったのにと思う。それにしてもコカ・コーラの発明までしたとは驚いた。「コカ・コーラ帝国の興亡」にも出てこなかったと思う。あと表紙の写真が凄く良い。

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