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2015年2月20日 (金)

コッパード『天来の美酒/消えちゃった』光文社文庫

『郵便局と蛇』ちくま文庫に続いてのコッパードの短篇集。11話からなる。コッパードの短篇は形容しがたいし、俗な言い方だと引き出しが多い。共通しているのは読後感がさっぱりしている。例えば「消えちゃった」だとデ・ラ・メアの「なぞ物語」を思い出す。こっちの方は小学生の時読んで作者は知らなかったがずっと心に残っていた。またコルタサルの「南部高速道路」のようでもあるが、読んでいる最中の緊迫感はない。コッパードの魅力は逆に読者にあまり負担をかけずに奇妙な話を読ませるというところにあるのかも知れない。だから「天国の鐘をならせ」のような話でも物語性に富みながらも結局、肝心な「恋愛についてはさりげなく描く。主人公の人の良さと物語の皮肉っぽさ。コッパードの作品はこのバランスが絶妙だと思う。

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