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2014年11月10日 (月)

マイク・タイソン自伝『真相』を読む

こういう本があると反射的に買ってしまう。原題は『UNDISPUTED TRUTH』議論の余地のない真実。ボクサーの自伝なり物語は大抵、いまで言うところの話を盛っている場合が多い。私の好きなモハメド・アリ関連もそうだろう。だけど、世界チャンピオンの話は面白い。この本はそういう本ではない本当のタイソンを見てくれということか。これを見ればタイソンを激怒させたホセ・トーレスの「拳の告白」がおとなしい本に思えるほどだ。安倍譲二が「殴り殴られ」で危惧したとおりタイソンは転落した、その状況もよくわかる。「ブロンクスのブラウンズヴィルで生まれ育ってある日たまたま成功を収めた、つまりツイていた黒ん坊(ニッガ)にすぎないからだ」(443頁)「健全な人間は正常な状態の基準が高いんだろうが、俺のは相当低かった。俺の基準線はセックスと酒と暴力による混沌状態だった。」(516頁)このことを証明するために652ページも費やしている。しかしタイソンのファンやアンチでも十分承知していることを、なぜここまで詳細に明らかにするのだろう。滲み出てくるのは俺は本当のワルじゃないんだという叫び。これが彼がなによりも一番言いたかったことで、それこそ彼にとっては、議論の余地のない真実なことなのだろう。

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