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2014年10月14日 (火)

A・E・コッパード短篇集『郵便局と蛇』を読む

10篇からなる短篇集。ちくま文庫。変わったお話ばかり。「幼子は迷いけり」芥川龍之介の「六の宮の姫君」みたいな不甲斐なさだけど、その物語と違って作者の悪意が感じられないし、そういう子も居たんだという結末。悲劇性も喜劇性もない。「芥子の野原」は諸星大二郎の「漁師とおかみさんの話」の絵の雰囲気が感じられるが、これも田舎のおばさんの人生の愚痴話を味わうものかも知れない。表題作の「郵便局と蛇」「銀色のサーカス」「うすのろサイモン」等は何かしら教訓めいた者を感じさせるが押し付けがましくない。特に「郵便局と蛇」は背景描写がいい。「ポリー・モーガン」は好きだ。「若く美しい柳」には同情しないが、ポリーは可哀想。「シオンへの行進」はシオニズムだろうか。もう目的地にはマリアはいない。「アラベスクー鼠」「王女と太鼓」は技巧的な面が強い感じだ。あと「コッパードについて」の詳しい紹介がある。貧乏で苦労し、それでもスポーツを楽しむという活発な人物だったらしい。苦労しても変に屈折してないところが魅力なんだろう。

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