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2014年9月

2014年9月25日 (木)

高野文子『ドミトリーともきんす』

「絶対安全剃刀」以来の高野文子。朝永振一郎、牧野富太郎、中谷宇吉郎、湯川秀樹と言った科学界の泰斗の人となりを紹介しつつ彼らの著作中の文章もそのまま載せている。あ、ガモフも出てくる。これは純粋の学者や学問を楽しむ漫画である。したがってあとがきにあるようにあえて紹介する側の母娘の個性は消している。この辺は高野文子らしい。私もたまに科学関連のわけのわからない例えばホーキングやブライアン・グリーンの書いた宇宙論を読んだりすると興奮することがある。逆に昔読んだ「ローレンスとオッペンハイマー」やワトソンの「二重らせん」は気分が悪くなる。多分、科学や科学者に純粋さを求め過ぎなのだろう。だからこの本は気持ちよく読める。確かに主人公のとも子さんが述懐しているように「暗い考えしか浮かばない日もある」が、この漫画の科学者たちは真摯に真理を追究しながらも、随筆にも才を示しみんなを勇気づける人たちだと再認識させられた。

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2014年9月15日 (月)

本・本・本4

これから読む本 柴田錬三郎『幽霊紳士/異常物語:(ミステリ集)』

積読本 フランティシュク・クプカ『スキタイの騎士』

     パトリック・ドゥヴィル『ペスト&コレラ』『花火』

     A・E・コッパード『郵便局と蛇: 短篇集』

     フリオ・コルタサル『八面体』

そのあと読みたい本

     エステルハージ・ペーテル『女がいる(仮題)』

     シギスムンド・クルジジャノフスキイ 『文字殺しクラブ』

     ヤン・ポトツキ『サラゴサ手稿』完訳版

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2014年9月11日 (木)

佐々木邦『凡人伝』読了

確か中学校の頃、春陽文庫の「次男坊」を読んでいたら、明治生まれの母が佐々木邦のことを知っていて若いころ読んだと言ったので驚いた。私の母がそれまで本を読んでいるの見たことがなかったからだ。「凡人伝」を読んで井上ひさしの「モッキンポット師の後始末」を思い出したが、登場人物はもっと罪がない人ばかりだ。だから凡人なんだろう。ついでにいうとジョンソン総理の日本語は小泉八雲のヘルン語だ。主人公は薄給の英語教師をしながらそれでも10人の子を拵える。そういえば自分の父は15人兄弟の長男だった。貧しくともなんとかやっていけた時代で現代では凡人がなせる技ではない。本文中にもあるが「女房を貰って大勢の子供を育てる律義者は独身でいて人口論をやる奴より余計社会に貢献する」(ゴールドスミスのヴィカーという本の冒頭にあるらしい。)そのとおりだ。鹿爪らしい文学よりもストレスがかからず気楽に読め、なおかつなんとなく為になる。いい小説だ。子どものころまだ漫画が盛んでない時代にはユーモア小説といえるかどうかリンドグレーンの「名探偵カッレ君」とか読んだことも思い出した。

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2014年9月 3日 (水)

マーヴィン・ピーク&メーヴ・ギルモア 『タイタス・アウェイクス』読了

「ゴーメンガースト」の最終巻との触れ込みだが、ほとんどが妻のメーヴ・ギルモアが書いている。「ゴーメンガースト」のおどろおどろしい雰囲気はなく各話はあっさりしている。どちらかというとカフカの「アメリカ」の簡略版のようだ。タイタス・グローンには各地を放浪遍歴の末にたどりついた島に定住することなく、ヘンテコ伯父さんになって欲しいな。

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