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2014年6月 2日 (月)

メシャ・セリモヴィッチ『修道師と死』読了

東欧の想像力10。面白い。メシャはユーゴスラヴィアの作家。オスマン帝国時代のボスニア。イスラム教の修道師をめぐる話。オスマン帝国、イスラムと言えばオルハン・パムクの『わたしの名は赤』を思い出す。この小説もそんなイスラム世界共通の雰囲気が感じられた。神のもと、信仰と世俗のせめぎ合い。主人公のなんと脆いこと。しかし彼の昔のエピソードも悲しく切なく心に響く。所詮、自分に誠実であろうとするならば、人間は煩悶するだけの存在なのかも知れない。それを逃れるのが彼の渇望するイシャークなのだろう。しかし、現実の復讐は結局、イスマイル・カダレの『砕かれた四月』(これもイスラムか)のように復讐を呼ぶ、。ハサンのことをこの修道師は初めは空っぽで表面的と馬鹿にしていなかったか。最後はかけがえのない友人とよび、そして裏切る。しかし、その友に最後は哀れみを受ける。

その日私たちは地獄に向かって言うだろう、いっぱいになったか?
すると地獄は答えるだろう、まだ誰かいるのか?(最終章)

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