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2014年3月 4日 (火)

フリオ・コルタサル『対岸』読了

フリオ・コルタサルの処女短篇集。「吸血鬼の息子」「魔女」が印象に残った。もちろん他の作品も悪いわけがない。コルタサルの小説はなにか気だるさが残る。夢の中の出来事。繰り返し。どこかで入れ替わり、反転する世界。1940年前後の作品集なのに古びていない。これは一緒に収載されているキューバでの講演をまとめた「短篇小説の諸相」の中の示された短編小説の三つの概念「暗示力」「凝縮性」「緊張感」がそなわっているからだろう。この短篇集は中でも「暗示力」が強く、イメージを膨らましてくれる。また究極的に短篇小説とは、「生」と「書き表された生」が兄弟喧嘩を繰り広げる場所から生まれるとも言っている。いかにもボクシング好きのコルタサルらしい表現だ。多分、彼の幻想文学の本質もそこにあるのだろう。逆に彼の長編『石蹴り遊び』は読むのがきつかった。断片、断片は面白いのだが、どうにか読み終えたというのが正直な感想だ。名作には違いないだろうが、やはり短篇の方が好きだ。

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