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2014年3月24日 (月)

残雪『最後の恋人』読了

残雪らしい小説。登場人物はジョーだのマリアだのリサとなっているがこれは符号にすぎない。今までの残雪に出てくる中国の人物と本質的に変わらないと思う。今回はその枠を出て、より普遍性を持たせたかったのかも知れない。最後にはこれらの人物も混沌として最早区別が付かなくなってくる。ジョーが手に入れた一頁しかない本の蟻の巣にいる蟻のようだ。みんな長征に出かける。それはあたかも地下の蟻の巣から出て地上へ出、さらに高みを目指して塔に登る一群となる。残雪はこの小説は水平的展開はなく垂直の小説だと序文で述べている。それは自己の確立なのか、登場人物は非現実的な奇妙な世界の中をそれでも主体的に行動する。読者は、残雪の小説の世界に浸る、身を委ねることで不思議な快感が得られる。それは青花蛇に咬まれることだろう。残雪は「最後の恋人」の意味を読者に問う。謎を解けと言う。それは東方の和服の女か或いは黒衣の女か、それともアイダにとっての消え行くリーガンか。多分、各々の登場人物がより高みに登ったときに遭遇し交合する人物ではないのかと思う。その「最後の恋人」に出会うために、また「最後の恋人」になるためにこそ人は生きる努力をすべきなのだろう。とはいうもののそんな説教臭い解釈抜きに残雪は本当に面白いので、そういうことではないという変な確信もある。後世のだれかに「魂の恋人 残雪解読」でも書いて欲しい。

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