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2014年2月19日 (水)

PKD『市に虎声あらん』読了

PKDのSFじゃない普通小説。昔題名を忘れたが、彼の非SF小説を読んだが全然印象に残っていない。普通小説と書いたがこれは本当にSFじゃないのだろうか。山形浩生はディックの原石とこの小説を称したがまさにこの本はディックのSFそのものだ。彼のSFの殆どはストーリーが破綻しているが、最後はなんとかまとめている。この小説は主人公の生き方そのものが破綻しながらも最後の落ちは何だろう。彼をとりまく脇役は皆ある意味主人公を崇拝し、それが判らないのは彼だけだ。その苛立ち。最後に彼の小さな楽園で皆が望む救世主になるのだろう。それは彼の望みだったのか。彼のSFを読む鍵があるとかは言いたくない。ディックが好きなら否応なく引き込まれるはずだ。こんな良い小説が埋もれながら、PKDのSFは死後も売れ続ける。私も単なる自慢だが、サンリオ含め多分彼のSFはコンプしている。レムのディック論も訳者が違う三冊を持っている。最後にペダンチックでキッチュなディックらしい翻訳をしてくれた訳者に感謝したい。(訳注もすばらしい!)

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