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2013年12月21日 (土)

残雪『かつて描かれたことのない境地: 傑作短篇集』読了

14篇からなる。表題作はもうかなり前に岩波の「夢のかけら」で読んだ。それが初めての残雪との出会い。あとがきによると残雪が「わたしは自分のことしか書かない作家だ」と言っている。するとこの短篇集の多様な世界は残雪の宇宙なのか。自分と言う個がこんな広大な宇宙に散らばっている。あるときは「アメジストローズ」のように地下に花を咲かせ、またあるときは「少年小正」のように木の飛行機を飛ばせ、草を食う。また「不吉な呼び声」のように野人となり山を彷徨う。人はライオンになりまたライオンに食べられる。「かつて描かれたことのない境地」のように人にはあらゆるところにチャンスがあり、道は開かれている。けれどそんな解釈よりも素直に残雪の世界が楽しめる短篇集だ。平凡社で「最後の恋人」が近日刊行予定とのこと楽しみだ。

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