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2013年10月24日 (木)

バオ・ニン『戦争の悲しみ』を読む

フォンが歌う。 ……風よ、お前は移り気ね 一吹きごとに冷えてゆく 世界は凍る、今夜から…… この小説も、河出書房新社の「世界文学全集」から。初めてのベトナムの小説。すばらしい傑作。キエンとフォンの物語。ベトナム戦争の戦闘場面の悲惨さより、二人の回想場面を読むのがかなり辛かった。こんな恋愛小説は読んだことがない。フルメタルジャケットに蹂躙された側だが、アメリカに対する憎しみは出てこない。普通の若者がAKを持たされ歴戦の戦士に変わる。そして多くのものを失っていく。大切なフォンすらも。本当の戦争の悲しみ。未来はなく過去に沈潜する。そこには昔の戦友やフォンがいて絶えず痛切な思い出とともに蘇る。なんという切なさだろう。

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