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2013年9月30日 (月)

残雪『暗夜』を読む

河出書房新社の「世界文学全集」から。7編からなる。久しぶりの残雪。相変わらず出口の見えない小説。「痕」仕事を止めた芸術家とも思える。「暗夜」猿山とは一体なんだろう。彼はなぜ目指すのだろう。「世外の桃源」山のあなたの空遠く「帰り道」はない。残雪の小説の主人公はいつも求めている。そして怖れている。周囲は敵かひょっとすると味方かも知れない。しかし主人公をいつも圧迫する。「世外の桃源」はその中でもひとつの境地を得ている。それは求めないことなのだろう。しかし後継者が現れるとその境地は譲らなければならない。「不思議な木の家」はカフカの「城」だろう。「阿梅・・」「わたしの・・」はとても詩的だ。残雪の描く世界は『黄泥街』のように汚らしい。そして人は働かず、みすぼらしく、暗い思いに囚われいつも脱出を夢見ているみたいだ。しかし読後の不快感はない。それはいつかは自分の力で切り開く『突囲表演』の可能性を感じさせるからだと思う。「暗夜」の敏菊の最後の言葉のように「ひとりの人間がことをなそうとしたとき、だれが本当に阻むことができよう?」

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