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2013年9月

2013年9月30日 (月)

残雪『暗夜』を読む

河出書房新社の「世界文学全集」から。7編からなる。久しぶりの残雪。相変わらず出口の見えない小説。「痕」仕事を止めた芸術家とも思える。「暗夜」猿山とは一体なんだろう。彼はなぜ目指すのだろう。「世外の桃源」山のあなたの空遠く「帰り道」はない。残雪の小説の主人公はいつも求めている。そして怖れている。周囲は敵かひょっとすると味方かも知れない。しかし主人公をいつも圧迫する。「世外の桃源」はその中でもひとつの境地を得ている。それは求めないことなのだろう。しかし後継者が現れるとその境地は譲らなければならない。「不思議な木の家」はカフカの「城」だろう。「阿梅・・」「わたしの・・」はとても詩的だ。残雪の描く世界は『黄泥街』のように汚らしい。そして人は働かず、みすぼらしく、暗い思いに囚われいつも脱出を夢見ているみたいだ。しかし読後の不快感はない。それはいつかは自分の力で切り開く『突囲表演』の可能性を感じさせるからだと思う。「暗夜」の敏菊の最後の言葉のように「ひとりの人間がことをなそうとしたとき、だれが本当に阻むことができよう?」

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2013年9月25日 (水)

『進撃の巨人』1-11巻

会社の元部下と取引先の課長に薦められ一気に読んだ。SOWセンスオブワンダ。すばらしい。ジャンプじゃないが努力・友情・勝利の方程式も生きている。登場人物が判らず3回も読み直してしまった。謎は深まり、どこへ行く。楽しみだけど20巻ぐらいで終わって欲しい。だけど普通の巨人をみてると、不思議に漫☆画太郎を思い出すんだな。

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2013年9月12日 (木)

クルジジャノフスキイ『瞳孔の中』読了

クルジジャノフスキイ二冊目。5篇が収められている。「クヴァドラトゥリン」リチャード・マシスンの「縮みゆく人間」の逆バージョン。結末も。「しおり」アイデアが次から次へと出てくる。宮沢賢治のよう。生前に評価されない状況も。「瞳孔の中」愛と記憶。小人はいずれ消え行く運命。「支線」ブルーノ・シュルツ的世界でもありピアズ・アンソニイのザンスの夢馬の話みたい気もし、カリンティの「エペペ」の世界にも似ている。頭の脳を囲む膜が実は枕だなんて面白いことを考える。「噛めない肘」解説にもあるようにカフカの「断食芸人」のようだが、やけに雰囲気が饒舌だ。クルジジャノフスキイは発想が奇異でお喋りだ。みんなを巻きこんで喋りたいがためにSF的(ファンタスティカかな)手法を用いているような気がする。それがうまい。これも解説からだが、ダニイル・ハルムスに近いと言われればそうかもと思う。ハルムスはお喋りじゃない変人だけど。それにしてもクルジジャノフスキイは博学だ。

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