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2013年7月22日 (月)

ブッツァーティ『七人の使者・神を見た犬 他十三篇』(岩波文庫)を読む

イタリアのブッツァーティの「六十物語」1958年から訳者が15篇選んでいる。一言で言えば幻想小説なんだろうけど、どの作品も余韻が残る。情感がこもっていて胸に沁みる。表題2作は当然良いし、「竜退治」のリアリティと悲しさ。「大護送隊襲撃」の清清しい読後感。「円盤が舞い下りた」の善悪の実を食べなかった宇宙人と神父の話はSFとしても面白い。「七人の使者」「道路開通式」の主人公の頑固さとやるせなさ。「神を見た犬」の皮肉ぽさ。訳者はこの犬を別の野良犬としているが、わたしは最後まで町の俗物と一緒で同一の犬と思っていたし、骨になった犬の復讐の話ともとれる。それは「竜退治」と似ている。「マント」の死神はあくまでやさしく忍耐強く、「それでも戸を叩く」魔物は礼節正しい。「聖者たち」は先日読んだ「神童のための童話集」の中の「ジャン=マリー=フィリベール=ブレーズ=ルイ・ド・クゥ」を思わせ、可笑しい。他の作品も面白い。ブッツァーティは優れた作家だ。

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