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2013年4月28日 (日)

『競売ナンバー49の叫び』トマス・ピンチョン読了

ピンチョンは「重力の虹」と「スロー・ラナー」を読んだ。今回の本は「重力の虹」に比べると短いし比較的読み易い。が、相変わらずアノテーションが必要な作家だ。ボーイング社のテクニカルライターを務めていたというからそういうタグから世界が成り立っていると思っているかも知れない。今回は郵便制度をめぐる謎、陰謀の話。この小説自体が消音器付き喇叭やトライステロの注解本とも言える。だからtristeroにtristereoを感じて云々することもありだろう。49だってピンチョンが日本人なら四苦八苦をまず思い起こすだろう。「重力の虹」は殆どが華麗な修飾文でなり、その修飾文の中の別世界に引き込まれ読者は本の中を彷徨う。これに比べ『競売ナンバー49の叫び』はそれより単純だがそれでもその構造は変わらない。ピンチョンは世界のすべてに複数のタグがついており、それは各々矛盾したり、独立したり捏造されたりしていると述べているみたいだ。だから真実を述べようと叫んでみても闇の中に葬られる。彼自身も姿を見せずタグがなるべく付けられないようにしているのかも知れない。

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