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2013年3月 2日 (土)

『火葬人』ラジスラフ・フクスを読む

松籟社「東欧の想像力9」。チェコの小説。初めから終わりまで気分の悪い小説。大体予想したストーリー展開。主人公コップフルキングル(厭らしい名前に思える)の空虚な饒舌さ。人生で確実なのは「死」ということを、たえず周囲にふりまく。それは形式美でもあり、チベット宗教の本は彼に確信を与えている。だからコップフルキングルにとって愛する?人でも死を与えることは善だ。彼にとって実際は対象がユダヤ人でなくとも良かったのだろう。日本でもそういう事件があった。そして彼は最後にはすべての人に死を与える救いのダライ・ラマとなった。本当に気分の悪くなる小説だ。

(追記)先日、手塚治虫の「すきっぱらのブルース」を読んでいたら、米軍の携帯食糧の中に角砂糖が入っていた。最後の場面の角砂糖と縄は生と死を暗示している。主人公自身は生に執着し、これからも救い主を演じる積もりなのだろう。(2013.4.28)

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