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2013年2月14日 (木)

アンナ・カヴァン『アサイラム・ピース』を読む

アンナ・カヴァンの初期作品集とのこと。昔レムが読みたくて買ったNW-SFに載っていたが、読んでなかった。去年掘り出して読もうとしたら引越しになって読み損なっていた。今回は新訳。アンナ・カヴァンのこれほど透明で無機質の哀しみは何だろう。初めから何もわからず、罪の烙印をおされ、精神病院に入れられる。涙すらただの水のようだ。そうかそれで水は究極的に氷になったのかと納得。カフカの審判みたいだが、もっとこの主人公たちは受身で振り回されるだけ。それでもアンナ・カヴァンを読むのは何だろう。この不条理感と何故かそれほど思い入れもできない主人公に惹きつけられるのは(矛盾しているか)、普段見て見ぬ振りをしている自分の陰の部分がさらけ出されているからか。しかし最後の「終わりはない」という開き直りの境地が逆に救いかも知れない。

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