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2012年8月

2012年8月16日 (木)

『旅に出る時ほほえみを』ナターリャ・ソコローワを読む

旅に出る時ほほえみを
あんまり背嚢につめるなよ、
一日
   二日や
        三日じゃない
                二度と帰らぬ旅だもの。
旅に出る時ほほえみを
一度や
    二度や
         三度じゃない
                 旅は哀しくなるものさ!
これが怪獣17Pの好きな歌。
この本の初訳『怪獣17P』大光社版は持っていたが、読んでいない。何たる不覚。こんな素晴らしい話だったとは。≪人間≫は二重山括弧付きに相応しい。また怪獣の人間らしさ。未知なる地底の解明は宇宙の解明に匹敵するというSFの設定の面白さ。アンハッピーな結末にも関わらず、なぜか明るさを感じる。これも≪人間≫と怪獣のあまりにも誠実な生き方によるのだろう。表題「旅に出る時ほほえみを」にはそんな生き方の決意が示されている。

 

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2012年8月 9日 (木)

アンナ・カヴァン『愛の渇き』

なんか救われない話。始めに城が出てきて、アンナ・カヴァンはカフカの影響を受けたとか聞いていたので、そういう話かと思ったら、違った。どちらかというとマーヴィン・ピークのゴーメンガーストのような雰囲気の出だし。それも最初だけ。ガーダは可哀想だけど、彼女を取り巻く男たちの思いと一緒で同じように何かいらいらさせる。リジャイナに至っては確かに魔女であり女神だろう。人間ではない。ダン・シモンズの「殺戮のチェスゲーム」に出てくる吸血鬼のようでもある。モナも決して許されるような女性ではない。結局、強い女、弱い女、何も信じられない女の3人。出てくる男も崇拝者と絶対者。キーワードは表題のとおり「愛」。結局愛のない不毛な人生の物語。ああジェフが一番可哀想。ガーダより哀れだ。一種のメロドラマだと思うが、アンナ・カヴァンの心理描写は単純に見えてなかなか奥が深い。

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