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2012年7月

2012年7月26日 (木)

アンナ・カヴァン『ジュリアとバズーカ』

サンリオSF文庫。扉のアンナ・カヴァンの古びた白黒の写真は昔のハリウッドの女優のよう。15篇からなる短篇集。淋しい女性の物語。すべてはバズーカの力を借りて生きて死んだ『ジュリアとバズーカ』に集約される。ジュリアはもうどこにもいない。それが、アンナ・カヴァンの望み続けたこと。

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2012年7月11日 (水)

アンナ・カヴァン『氷』を読む

2008年、バジリコ版。アンナ・カヴァン、寒そうな小説だからロシア人かと思っていたらフランス生まれのイギリス人。主な登場人物は3人。アルビノの髪を持ったか弱い女、逞しい長官、私。その他はモブキャラ。あと氷。ひたすら凍てつく小説。あくまで受身の女性。なんだか強いのだか、弱いのだか判らない私。強い長官。いずれにせよ世界は氷に覆われ破滅に進む。この描写は美しい。最後に私は長官のなりをして彼女と最後の時を一緒に突き進む。作者の生涯と結びついている作品とブライアン・オールディスも書いているが、ヘロイン中毒の作者の心情は本当のところ判らない。ましてこの小説を書いた翌年に死んだ女性の遺書みたいな小説は。それらを切り離すと一番さきにバラードの「結晶世界」を思い出す。インドリて鳥だと思って読んでいたら熱帯のマダカスカルの猿だった。暖かさと優しさを欲しながら冷気や暴力を呼び込みざるを得ない人間の悲しさ。つかの間のぬくもりを得た二人は幸せだったのだろうか。

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