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2012年6月13日 (水)

カルペンティエール『ハープと影』を読む

カルペンティエール、翻訳本最後の一冊読了。この世界を球形に閉じた男、クリストバル・コロン(クリストファー・コロンブス)の話。ある意味、水木しげるの近藤勇伝『星をつかみそこねる男』を思いだす。共通するのは、時流にのりかけ、最後に挫折する男たち。ただここで描かれるコロンはイスマイル・カダレの『災厄を運ぶ男』でもある。新大陸は果たして白人に発見されて幸せになったのか、後戻りするには足跡は失われており、痕跡を残すのみ。カルペンティエールはラテン・アメリカのアイデンティティを求めていたのか。失われた足跡を探すためあれほどまでの言葉と知識を必要としたのか。カルペンティエールは、決して読み易いとは思わないが、何か真理を探求する求道者のような気がして、ついその世界に引き込まれる作家だ。

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