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2012年6月 1日 (金)

カルペンティエール『春の祭典』読了

ようやく読了。相変わらず文字が多い上、かなりの長編。だが傑作。ロシア革命、スペイン内戦、キューバ革命と愛の物語。亡命ロシア女性バレリーナとキューバのブルジョアの青年とストラヴィンスキーの「春の祭典」の物語でもある。マンガの一コマの方が文学より情報が多いと言ったのは筒井康隆だったか。しかしこの小説はとにかく情報量が多い。カルペンティエールは文字数と表現で凡庸なマンガを凌駕しているとも言える。この小説はカルペンティエールの小説の中でも特に躍動感が強い。政治小説と言えば解題にもあるようにキューバ革命万歳小説ということになるかも知れないが、やはりそんな単純なものではないだろう。フリオ・コルタサルの『かくも激しく甘きニカラグア』 と共通するラテンアメリカ特有の政治事情もあるだろう。この本は、歴史小説としても、恋愛小説としても、無論バレエ小説としても秀逸だと思う。いつもカルペンティエールを読むと絵画的と言っているがこの小説もそう、カリストとミルタの「春の祭典」の光景が目に浮かぶ。自分なりの捉え方だがこれが「マジック・リアリズム」なのだろう。とにかく圧倒的な情報量で隙間なくイメージを眼前に露にする。疲れたけど、素晴らしい読後感だった。

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