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2012年6月30日 (土)

サムコ・ターレ『墓地の書』を読む

東欧の想像力8。スロバキアの小説。サムコ・ターレ、ウンコ・ターレ。駄洒落と奇妙なリズム感のある小説。はじめの数ページで山下清を思い、そのあと魯迅の「阿Q正伝」を思った。それで青空文庫で「阿Q正伝」を読み直した。「墓地の書」と共通点が有るような無いような。ただ阿Qが入れば、サムコ・ターレの名前のリストのQの部に阿Qは二人目となってよりリストを完璧にするだろう。この本は、チェコ、ハンガリーとの反目、サムコ・ターレのジプシー、芸術家への嫌悪、共産党礼賛を明らかにする。しかしエリク・ラクにかけられた呪いは最後まで明かされない。サムコ・ターレは知的で慎重だから。そうだろう?そうだとも。老いぼれグスト・ルーへの予言は遂行された。結局世界は死んだ者とこれから死ぬ者からなるのだから、サムコ・ターレの記述はまったく正しい。この本にはユーモアがある。サムコ・ターレは阿Qのような阿呆ではない。しかし両者の前に開かれている世界はいずれも阿呆な世界だ。

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