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2012年3月 7日 (水)

カルペンティエール『この世の王国』を読む

今は亡きサンリオ文庫版。短編『亡命者庇護権』も収録。『この世の王国』はハイチの奴隷ティ・ノエルの一生を描く。ブードゥ教を軸とする奴隷の2度の反乱、植民地の白人による弾圧、奴隷から成り上がったアンリ・クリストフ皇帝の栄枯、混血の支配者への怒り。圧巻はティ・ノエルの変身、昇華だろう。悟りに似た境地。最後は「百年の孤独」を感じさせる。血腥いがなぜか最後の嵐とともに洗い流されるような爽快さが残る。カルペンティエールの小説は確かに神話的で読む者に知識を要求するが、本質的に力強さ、前向きさがあるような気がし魅力となっている。『亡命者庇護権』は面白い。この人称の入れ替えは、アルゼンチンのコルタサルの「あなたはお前のかたわらに横たわった」を思わせる。コルタサルの方がより技巧的だが。それはともかく良質の小説のハッピー・エンドは良い気持ちだ。

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