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2012年1月

2012年1月31日 (火)

カルペンティエール『時との戦い』

4篇の短編からなる。実際はあと3篇あるらしい。「聖ヤコブの道」なぜかポルトガルのサラマーゴの「修道院回想録―バルタザルとブリムンダ」が思い出された。世俗的でありながら神話的、時間の環の話。 「種への道」これはディックの『逆まわりの世界』、ディックがぱくったのか。それぞれの世代が生き生きとしているのが不思議。「夜の如くに」重層的に3つの役が一人で演じられている。コルタサルの『すべての火は火』を思う。「選ばれた人々」笑える。だけど描写は凄い。『失われた足跡』にも出てくる。諸星大二郎の『マッドメン』の「鳥が森に帰る時」を思った。こういろいろと連想すると確かにカルペンティエールは先駆的かつ今でも斬新で後世の芸術家に大きな影響を与え続けているのだろう。たぶん神話、昔の人類の思い出が時を経ても忘れられることなく蘇るのを、詳細に表現できるからだろう。解説にもあるようにそれは音楽的でもあるがまた絵画的でもある。それは諸星大二郎の「鳥が森に帰る時」が眼前に浮かび上がるのを見ても確かだと思う。

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2012年1月24日 (火)

カルペンティエール『失われた足跡』を読む

カルペンティエールはキューバの作家。とにかく読むのに時間がかかった。ギュンター・グラスの濃縮小説とは異なるが、細かく濃厚な描写。同じマジック・リアリズムと言われるガルシア=マルケスの「百年の孤独」とも違う。細部へのこだわりでひとつのエピソードが長く疲れた。しかし最後の方の高地の場面はよかった。神話の石器時代への逆行の旅とあっけない現代への帰還。現代人の主人公の揺れ動く心情と裏切り。Ⅵ章の初めにケベードの『夢』から「そして、死は死ぬのをやめることであり、誕生とは死を始めることである、そして生とは生きながら死ぬことである」という文章をもってきている。これは折角、原初の神話の世界までたどりついた主人公が引き戻され、また自ら戻った現実世界のことだろう。もう彼には同じ道をたどり引き返すことは不可能だ。カルペンティエールの『失われた足跡』にはロサリオに示される地母神的な存在への憧れを感じる。それがムーチェやルースに対する反感となり、また自己嫌悪となる。だけど<あなたの女>はいい言葉だな。

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2012年1月15日 (日)

米長会長VSボンクラーズ

将棋ソフトのボンクラーズが米長永世棋聖に勝った。ニコ動で見てたが魔太郎解説が良かった。もう初めから負けるが判っていたような。ただボンクラーズの飛車の動きにみんな呆れていたのも面白かった。ゲストがこんな手を打ったら破門されますと言っていた。これはまだソフトには理解できない美学の問題だろう。会長をネット観戦の連中がハンター・ハンターのネテロ会長にダブらせていたのも笑った。将棋は良くわからないが、見ていてなぜか面白い。渡辺・羽生の竜王戦も面白い。しかしパソコンの進歩は著しいしそのうちトッププロが負けるのも時間の問題だろうけど、それはそれでレムの小説のようにロボットの時代がくれば楽しいだろうな。

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2012年1月 9日 (月)

内山高志『心は折れない』

スーパーフェザー級世界チャンピオン内山高志の自伝というか決意書みたいな本。そこにはエリートボクサーではない根性の大切さ、精神のハングリーさが必要と述べられている。またボクシングに取り憑かれたと述べているのはある意味、世界チャンピオンにはなれなかったけど、人気は抜群だった高橋ナオトの『ボクシング・ジャンキー』と同様だろう。とにかくまじめで練習熱心な好漢内山高志の今後に大いに期待しよう。

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2012年1月 3日 (火)

五十嵐大介『SARU』上下巻

初めての五十嵐大介。何か絵の雰囲気が大友克洋に似ている。それなりに面白いけど、ぶっ飛んでいない感じ。なにか既読感があり、興奮できない。たぶん、理詰めでまじめな人なんだろう。スケールの大きい話なのに、なんだろう、こちらが反応しない。前に読んだエディ・キャンベル作画『フロム・ヘル』みたいな読後だ。絵もうまいし、ストーリーも破綻がないが、それだけ。結局、単に自分が理路整然としていないだけで、相性の問題なのだろう。

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松本大洋『Sunny』1巻目

竹光侍以来久しぶりの松本大洋。STRAIGHTからほとんど持っていると思う。特にSTRAIGHT、ZERO、ピンポン、鉄コン筋クリート、竹光侍好きだな。吾はいまいちだった。けど英語版出てるってことは、設定がSFだからアメリカにも受ける要素があるということか。今回の『Sunny』は、施設の子たちの人物像の書き分けがすごいな。ピンポン、鉄コン筋クリートの進化系でありルーツみたいなこと帯に書いてるけど、青い春の不良たちのルーツみたいなところもある。松本大洋は個を書くのがうまい。それも独立独歩の。STRAIGHTは1989年に発行されているけど、カバー裏の大洋は若いな。あれから絵はうまくなり、内容も深くなってきている。『Sunny』の集団、群像の今後の展開が楽しみだ。

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2012年1月 1日 (日)

新PCと新眼鏡と新年と

昨年12月に新しいPCを買った。2週間ほどほっといて年末ようやくセッティングした。メールの移動とか転送ファイルとか終わったと思ったらネットに繋がらない。モデムから直には繋がるがルーターを通すとだめ。結局ルーターの初期化で繋がった。ディスプレイも今までの2倍ぐらいのに変えた。ネットも早いし、画面も大きく楽だ。これが最後のパソコンかな・・・。眼鏡も年末に枠がいかれて新しいのにした。似合わないが一応ブランド品。なんか見かけでも変えないと思ったもんで。もう元旦も終わり。妹からの差し入れの雑煮、おせちを食べた。昨日の内山のボクシング凄かったな。強い。西岡、内山今年も楽しみ。また、本を読むスピードが落ちて困る。集中力がないのかな。カルペンティエールの『失われた足跡』『時との戦い』にしたのが間違いかな。とうとう年を越えてしまった。

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