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2011年11月 8日 (火)

『魂の城 カフカ解読』残雪を読む

残雪(ツァンシュエ,Can Xue)がカフカの長編『アメリカ』『審判』『城』と短篇13作品を文字通り解読する。この作品はカフカの解読であり残雪の解読でもある。この解読書には至る所に「包囲突破」という表現が出てくる。これは彼女の作品の題名『突囲表演』を想起させる。いかに人間が究極的に生きる、芸術家になるということは困難なことか、ブレークスルーが必要なのかということがカフカと残雪の共通点かも知れない。『アメリカ』は芸術家になるための転落と成長の記録、『審判』は死の記録、『城』は生の記録。残雪は説得力ある。また周囲の人間は全て教師であり、成長を促して突破させようという意志があると彼女は言っているみたいだ。また『審判』の解読の初めでは主人公のヨゼフ・Kが嫌いなのかと思ったが、後半はそうでもなくなっている。推測だが、『城』のKの方により共感を持っているのだろう。彼女自身の生き方として『城』のKが好きなのだろう。前にも言ったが『城』は高校の時、無理して読んだ。『アメリカ』『審判』は今年読んだ。『城』はすっかり忘れていて、まるでレムの『完全なる真空』を読んでいるようなものだったが、それでも、面白かった。多分原作より面白いと思う。残雪の小説はとらえどころなく面白いが、こんな解読書も理詰めで面白い。その内、未読の『暗夜』を読もう。

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