« イエールジ・コジンスキー『異境』 | トップページ | 『西遊妖猿伝』異聞「逆旅奇談」12月21日(水)週刊モーニング掲載 »

2011年11月26日 (土)

イエールジ・コジンスキー 『預言者』

『庭師 ただそこにいるだけの人』原題「BEING  THERE」の初訳、庭師と同じと知らず、買った。読みやすいので、また読んだ。庭師では映画の「チャンス」に合わせ、エリザベス・イブ(初訳は原著に忠実にEEとしている)をイブでとおしている。BB(ブリジッド・バルドー)やCC(クラウディア・カルディナーレ)を考えれば別にEEで良いと思うが。「異端の鳥」「異境」のコジンスキーの作品と考えるとこのチャンスはやはり彼の到達しえない理想の人間になるのだろうか。人の幸せとは、人との接触はテレビ程度で自分の庭で自然と親しむことか。しかしそれは現実には有り得ないことで、この世の人では可能ではない。チャンスはこの後、世の中に変革をもたらすのか、映画では明らかにそう暗示しているが、コジンスキーの小説を読むとどうしても悲劇的な結末を感じる。彼が神なら最後は磔刑だろうし、無原罪の人間なら追放される運命にあるだろう。到底人間社会を生き延びるとは思えない。何か絶望に裏打ちされた喜劇的色彩を強く感じる。コジンスキーは未読の作品も出そうもないので、当面これでおしまいとするが、盗作云々はともかく、作品だけの評価だとやはり凄い作家だと思う。

|

« イエールジ・コジンスキー『異境』 | トップページ | 『西遊妖猿伝』異聞「逆旅奇談」12月21日(水)週刊モーニング掲載 »