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2011年10月21日 (金)

カフカ『審判』を読む

雰囲気が短篇の『巣穴』に似ている。段々不安感が募ってくるとこなんか。主人公のヨーゼフ・Kは初めの内は嫌な奴と思っていたが、弁護士の言うように被告になることにより確かに変貌し「美しく」なった。謂れなき起訴に反発し、自分の内面と向き合い、最後は執行を受け入れる。Kは敢えて判決から逃れようとしない。あるのは無罪か死か。「掟の門」のように解釈が多様であるが、Kは自分で選択し、結論を誘導し決着させた。そのことが重要なように思える。笞刑史に笞打たれる二人の男とは違う。しかし何の罪だったのだろう。Kはそれを知らされず潔白を主張した。このこと自体がもう論理的ではない。その状況に置かれたKの不安と疑念。最後の「犬のようだ」は人間と言われる存在の曖昧さを示しているように思えた。今頃カフカを読んだのは、もう随分前に中国の残雪の小説をあらかた読み終えて、最後に『魂の城 カフカ解読』という本まで買ってしまったところで、カフカをあまり読んでいないということに気づきいままでほっといたからだ。これから残雪のカフカを読むがどうなるのだろう。

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