« 『斎藤史歌集 記憶の茂み』和英対訳カーカップ・玉城周 | トップページ | 『遊星ハグルマ装置』朱川湊人・笹公人 »

2011年9月 6日 (火)

イエールジ・コジンスキー『異端の鳥』

松籟社「東欧の想像力」第7作品目『ペインティッド・バード』の初訳(青木日出夫訳)角川版。当初この青木訳がそのまま「東欧の想像力」シリーズとして出版されるはずだったが、著作権上の問題か新訳で出ている。なかなか松籟社で出版されないので古書で『異端の鳥』を1年ほど前に買った。本の袖の紹介文をみて読む気が萎えて、今頃読了した。ポーランド人が亡命先のアメリカで英語で書いた小説。黒い目をした黒髪の少年が体験する悲惨、陰惨、無惨、凄惨それ以上の世界。少年が自分の体験を大人の目で見直し、翻訳し語る。混乱と冷静さが交錯する。最後に声を取り戻し自分の言葉を発することで物語は終わる。この本は東欧の小説を読む者にとって必読書かも知れない。松籟社が新訳を投入してまで出版したのも頷ける。同じポーランド人のレムの人間嫌い、ハンガリーの作家カリンティ・フェレンツの難解で不快な『エペペ』の世界もこの『異端の鳥』を読むと少しは理解できたような気になる。正直読み終えてほっとした作品だ。

|

« 『斎藤史歌集 記憶の茂み』和英対訳カーカップ・玉城周 | トップページ | 『遊星ハグルマ装置』朱川湊人・笹公人 »