2019年2月 9日 (土)

『教養としての現代漫画』瀬木比呂志を読む

諸星大二郎が出ているので読んだ。元裁判官というので関根牧彦さんもそうだったなと思ったらやはり同一人物だった。漫画が教養だと初めて知った。昔、大学生が電車で漫画を読んでいたら批難されて(子供が読むものという常識)、それから逆に漫画も読めない大学生と批難される時代になった。10年ほど前、大学の同窓会で友達に今の趣味を聞かれ漫画だよと言ったら旧財閥系企業管理職の彼に人前でそんなことを言っちゃダメと説教され唖然とした。まだそんな世界が残っていたんだと。現在、漫画家や評論家が大学の教員になるケースが増え漫画の社会的地位が一見上がったように見える。そうなると漫画は現代では確かに教養なのかも知れない。この本の漫画家の選択も知らない人もいるが教養の面からは妥当なんだろう。私自身読めない漫画家というのは存在するのでそれは致し方ない。でも冨樫を選んだのは正解だろう。一番初めの漫画の記憶が残っている。小学校に入る前、まだ字が読めなかったとき、子供たちと漫画を回し読みしていて、自分に渡った時、少し年長の字の読める子に字を読めないことを揶揄われ暗に次に回せと言われたときの漫画。それはのらくろでもなくアトムでもなく子供漫画でもなかったと思う。内容は映画特撮の話だ。大きな桶の中に水を張って頭の上に軍艦を括り付け息をできるだけ止めて水中を進む、それを上から撮影しさも本当の軍艦が進んでいくように撮影する。そのときの主人公の息苦しさ、途中で我慢できず息継ぎで顔を出す。カメラマンの怒り。誰が描いたか知らないが漫画の原体験。年取ってからの補正があると思うが字が読めなくともなんとなくわかる、ある程度理解できるそれが漫画。冨樫は字が最近とみに増えているが、字を読まなくとも十分筋は追える。漫画は子供の頃からの娯楽、「ストップ!にいちゃん」「ナガシマくん」「エイトマン」「紫電改のタカ」「ハリスの旋風」、いまはリベラルアーツ。初めて出会った漫画が佐々木マキでなくて良かった。

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2019年2月 4日 (月)

豊島与志雄「丘の上」メランコリー幻想集読了

昔の作家。芥川、太宰等。神経病みの短編集と言ってしまえば簡単だろうが。私は最後の「絶縁体」が好きだ。私の生まれた年のの作品だ。変人だろう、年の離れた娘と息子の三人暮らし。娘もジフテリアで亡くしてしまう。近所付き合いもせず毅然と生きていく。今の世の中人生100年とか言い、定年退職後、いかにコミュニティに溶け込むかとか、人は本来頼られてなんぼとか老後の生きがい論ばかり読まされているとこの短篇の市来の生き方の方が清々しく感じる。最後の一文、ー市来さんはまだ生きている。この短篇集の前半の神経症的な自伝的なものより後半の支那の話や「沼のほとり」などの近代伝説の方が物語性があって好みだ。豊島与志雄は東大の仏文を卒業、この時の卒業生豊島を含め2名とのこと、そんな時代に生家が没落したため高等遊民になれなかった男の憂鬱。

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2019年1月19日 (土)

リーガルハイのサンタクロース

最近、テレビ番組のDVDをみている。リーガルハイ1の8話サンタクロースの件。私の子供の頃、家には里見浩太朗の服部ではないがサンタクロースというシステムはなかった。しかし時代が進み古美門の子供の頃にはそのシステムがいき渡った時代だろう。しかし古美門家にはサンタは来なかった。彼にとってサンタの不在は当然であり、また寂しいことだった。なのに彼の父はサンタの不在を証明しろという。彼は本当はサンタに来て欲しかった、いて欲しかった。息子の出奔後、父はようやく子の心中を思いやることができ、服部をサンタとして息子にプレゼントする。いや服部は何の取柄もなくと言いながら本物のサンタクロースだったときがあったのかも知れない。

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2018年12月29日 (土)

『チェコSF短編小説集』ヤロスラフ・オルシャ・jr.編

11作からなる。チェコのみのSF集としては初めてだろう、たいてい東欧のくくりでSF、幻想小説、怪談とかの短編集の中に収められている。
・オーストリアの税関 レム的な皮肉とユーモア
・再教育された人々 題名が違うような。だけど日本の子供虐待や殺人事件、格差を知ると一概にディストピアものを否定できない気分。
・大洪水 チャペックらしい
・裏目に出た発明 こういう世界、ユートピアに住みたい
・デセプション・ベイの化け物 不幸なファーストコンタクト
・オオカミ男 ドウエル教授の首的な 
・来訪者 シマック 空は船でいっぱい
・わがアゴニーにて いい、養護ホームを氏族(クラン)に見立てたよう
・クレー射撃にみたてた月飛行 面白い、バラードの小説は思い出せない ハイハイハイ
・ブラッドべりの影 火星年代記とそれとレムの大失敗 読み応えある中編
・終わりよければすべてよし ユダヤの怨念はいつまでも

もっと新しいのが読みたい、そういえばミハイル・アイヴァスの「もういひとつの街」はチェコだった。いまいちだったので「黄金時代」は未読、そのうち・・・

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2018年12月26日 (水)

積読

Photo_2・時空間を打破する ミハイル・ブルガーコフ論 大森雅子
・丘の上 メランコリー幻想集 豊島与志雄
・交雑する人類 ディヴィッド・ライク
・不気味な物語 グラビンスキ
・宰相の象の物語 イヴォ・アンドリッチ
・チェコSF短編小説集
・奪われた家/天国の扉 コルタサル
・タイタス・アンドロニカス シェークスピア




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2018年12月19日 (水)

『文化水流探訪記』やけのはらを読む

両眼の白内障の手術を受けようやく眼鏡を作成できたので、読書を再開。初めての遠近両用だけどまだピントが合わない。この本はジャケ買いならぬ表紙買い、内容もよくわからず諸星大二郎が出ているのと表紙の魅力的な女性がてっきりやけのはらだと思い購読、ようやく読み終えた。内容的にはJ・G・バラードの「千年王国ユーザーズガイド」のサブカル版と言ったら失礼か。音楽面は知らないことばかり。プレスリーは姉がファンでラスベガス万才とか連れられて観に行った。私のささやかな結婚式で「Night Rider」を歌ってくれた。
♪Cautioned my baby to stay at home Not to leave mama's side♪
1956年のファンがもうママになっている。

あと本編ではないが、東横線白楽の商店街のレコード屋の話に白楽に映画館が2軒あったと書いてある。紅座とロマン座、妙蓮寺の方には白鳥座というのがあり反町には東映があった。家を出て左に行くと駅で学校、行きたくないときは右に曲がり丘を下ると六角橋、紅座はよく行った。一日に3館まわった時もある。朝出て、映画で頭がくらくらして夜帰宅。映画館で隣の席の学生らしき人にバナナを勧められたり。なんかそんな昔のことが思い出された本だった。

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2018年10月26日 (金)

シェイクスピア11『ペリクリーズ』松岡和子訳・ちくま文庫読了

タイアの領主ペリクリーズの苦難の冒険。めでたし、めでたし。ハッピーエンドが好きです。昔の船はよく難破するな。

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2018年9月23日 (日)

シェイクスピア10『ヴェニスの商人』松岡和子訳・ちくま文庫読了

有名な小説。これは昔読んだ気がする。ユダヤ人シャイロックの悲劇。今に続く復讐譚だと思うと気が重い。シェイクスピアは相変わらず軽快に筆を進めているが・・・

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2018年9月11日 (火)

『FUNGI 菌類小説選集』第二コロニー読了

12の短編からなる。元々は第一コロニーと合わせて一冊の短編集らしい。キノコと黴の話。この第二コロニーで面白かったのは「やつらはまずブタを迎えに来る」怪奇アクション。「黒花の微塵」正統ラブクラフト調。「ど真ん中の怪物」怪作。「死者たちの夢見るところ」ぞくっとする。キノコの擬人化が多いのは「マタンゴ」のせいか。「ベルセルク」の妖獣にも男根ぽいのが多い気がするし、なにかキノコは陰湿なイメージもあるのかな。自分はあまりそう気にならないが、それより黴の方が嫌だな。ところで訳者の野村さんは「ミスカトニック大学」中退らしい。happy01

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2018年9月 6日 (木)

PKD原作「高い城の男」アマゾンビデオを観る

シーズン1,2合わせて1時間ほどのドラマが20巻。歴史改変SF。昔読んだ早川の銀背と内容が違うような。忘れてしまった。20時間ぐらい見て言うのもなんだけど、こんなにメロドラマで冗長だったっけ。とにかく私にとってジュリアナが全然魅力的じゃないんだよ。日本人もなんだかなぁ。PKDの原作だからつい最後まで見たというのが率直な感想。フィルムがワブ革の聖書の方が良かったのに。

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