2019年5月16日 (木)

『宇宙と宇宙をつなぐ数学』IUT理論の衝撃 加藤文元を読む

京都の数学者望月新一のIUT理論の紹介。ニコ生で講演していた内容とほぼ同じ。今はYouTubeで英語の字幕つきでアップされている。出版されてすぐ読んだがブログに書くのが遅れた。加藤先生のツィートによるともう一万部以上売れて三千冊増刷するとのこと。講演内容とほぼ同じと書いたが望月先生のひととなりも詳しく出ている。2012年に数学の難問ABC予想を証明したとのことで世界中で大騒ぎ(数学界での話)だが現時点で論文発表に至っていない。それほど難解なIUT理論を分かりやすく説明とのことだが素人(私)にとってどうせ分からないのだからもっと小難しくても良かったと思う。数学の宇宙間の通信にガロアの対称性理論群論が有効で対称性が高度なほどより情報が伝わる。そうか。そういえば昔読んだ本「自然界における左と右」で宇宙人と地球人で左と右を共有するのが難しいと言っていた。それはパリティ対称性の破れで一応解決したそうだが、そもそもパリティとはなんぞや。それはともかくA=BではなくA≒Bでその辺の曖昧さがそもそものABC予想の不等式やεにつながるのかなと思ったり、数学はさっぱりわからないから面白い。今後IUT理論が正しいことが立証されてパラダイムシフトが起きればいいと本当に願う。

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2019年4月22日 (月)

シェイクスピア12『タイタス・アンドロニカス』松岡和子訳・ちくま文庫読了

今ちょうど、ゲーム・オブ・スローン最終章を見ているんだが、タイタスの高潔さってネッド・スタークみたい。強くて正直で公平で悪党に簡単に騙される。GOT自体がシェークスピアの作品みたいものだろう。今回もタイタスの話にもパイの中に悪党の肉を切り刻んで入れ込む場面があるが、これはアリアの復讐と同じだ。アリアと言えばシーズンいくつか忘れたが、劇中劇のような芝居が出てきてこれもシェークスピアの舞台みたいだ。アリアの発案で脚本を直したり実際観客の反応を見ながらそういうことは行われたのだろう。ちくま文庫の脚注にも台本がいくつもあるのが示されているし。ベニスの商人ではユダヤ、このタイタスでは黒いムーア人。昔から差別のネタは尽きない。タイタスはシェークスピアの他の作品と違って神経ではなく直接肉体痛めつける残酷さが際立っている。分かりやすい物語だ。

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2019年4月17日 (水)

コルタサル『奪われた家/天国の扉/動物寓話集』を読む

8篇からなる短篇集。コルタサルは大好きな作家。ずっとコルタサルを読んでなかったので、久しぶりに再会した気分。「動物寓話集」以外は一応読んだ記憶がある。コルタサルの幻想世界は日常からのちょっとしたずれが段々広がり最後は元の現実から引き離されてしまう。確かにコルタサルは政治的な作家なのかもしれないが、それだけでは解き切れない深さがあると思う。物語の中にラテン音楽やダンスが入り、プロボクシングの世界が紛れ込む。それも濃厚なエッセンスがコルタサルの世界を覆う。この短篇集では収録されていないが、ボクシングでは(バターのように滑らかな)ナポレス対(ライフル)モンソンの試合とか、アルゼンチンでは著名なボクサー”フスト・スアレス”を題材にした短篇が良い。今回の短編集の中でも「キルケ」にデンプシーとフィルポのヘビー級世界戦が出てくる。ラテンの濃い雰囲気は表題作の「天国の扉」によく表れている。この短篇集で好きなのは「バス」バスの中で主人公と敵対する運転手や乗客と花、特に貧乏人のための菊とダリア。昔読んだときに特に印象に残った話だ。改めて読むとやはり彼の短編小説は長編の「石蹴り遊び」をバックにしているような気がする。第一部パリに住むマテ茶とレコード(ジャズ)の中のアルゼンチンの若者の倦怠感、そして現実の象徴としての赤ん坊(いつもあの場面を思い出すと私は憤慨する)。第二部まるで異世界のようなアルゼンチンの舞台。まだ未訳の小説があるという。出版社の方にはディックのようにすべての小説の翻訳をお願いしたい。

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2019年3月12日 (火)

アマゾンビデオを観る

昨年来、病院通いが多く中でも両目の白内障手術をしたせいで本が読みづらい。また不整脈治療で心臓カテーテル手術(アブレーション)を今月やって一週間ほど入院。脈は正常に戻ったがまだ安静中。ということで読書に集中できないのでアマゾンのプライムビデオをみている。今年になってからみているのを順番に書くと
1.「ゲームオブスローン」余りにも有名。付け加えることはない。4月15日から最終シーズン。新規にオンデマンド入るか思案中。

2.「ELEMENTARY」シャーロックホームズ現代アメリカ篇、女ワトソンもいいが、りんごの皮の剥き方が・・
3.「カーニバル」面白いけど、第二シーズンで低視聴率のため打ち切られたらしい。
4.「WEST WORLD」SF。AIと人間。冗長
5.「プリーチャー(説教師)」これは面白い。新シーズンも予定されているらしい。
6.「サウス・オブ・ヘル」B級ホラー、お約束のエンディング。
7.「MENTALIST」視聴中、軽いタッチが良い。

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2019年2月 9日 (土)

『教養としての現代漫画』瀬木比呂志を読む

諸星大二郎が出ているので読んだ。元裁判官というので関根牧彦さんもそうだったなと思ったらやはり同一人物だった。漫画が教養だと初めて知った。昔、大学生が電車で漫画を読んでいたら批難されて(子供が読むものという常識)、それから逆に漫画も読めない大学生と批難される時代になった。10年ほど前、大学の同窓会で友達に今の趣味を聞かれ漫画だよと言ったら人前でそんなことを言っちゃダメと説教され唖然とした。まだそんな世界が残っていたんだと。現在、漫画家や評論家が大学の教員になるケースが増え漫画の社会的地位が一見上がったように見える。そうなると漫画は現代では確かに教養なのかも知れない。この本の漫画家の選択も知らない人もいるが教養の面からは妥当なんだろう。私自身読めない漫画家というのは存在するのでそれは致し方ない。でも冨樫を選んだのは正解だろう。一番初めの漫画の記憶が残っている。小学校に入る前、まだ字が読めなかったとき、子供たちと漫画を回し読みしていて、自分に本が渡った時、少し年長の字の読める子に字を読めないことを揶揄われ暗に次に回せと言われたときの漫画。それはのらくろでもなくアトムでもなく子供漫画でもなかったと思う。内容は映画特撮の話だ。大きな桶の中に水を張って頭の上に軍艦を括り付け息をできるだけ止めて水中を進む、それを上から撮影しさも本当の軍艦が進んでいくように見せる。そのときの主人公の息苦しさ、途中で我慢できず息継ぎで顔を出す。カメラマンの怒り。誰が描いたか知らないが漫画の原体験。年取ってからの補正があると思うが字が読めなくともなんとなくわかる、ある程度理解できるそれが漫画。冨樫は字が最近とみに増えているが、字を読まなくとも十分筋は追える。漫画は子供の頃からの娯楽、「ストップ!にいちゃん」「ナガシマくん」「エイトマン」「紫電改のタカ」「ハリスの旋風」、いまはリベラルアーツ。初めて出会った漫画が佐々木マキでなくて良かった。

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2019年2月 4日 (月)

豊島与志雄「丘の上」メランコリー幻想集読了

昔の作家。芥川、太宰等。神経病みの短編集と言ってしまえば簡単だろうが。私は最後の「絶縁体」が好きだ。私の生まれた年のの作品だ。変人だろう、年の離れた娘と息子の三人暮らし。娘もジフテリアで亡くしてしまう。近所付き合いもせず毅然と生きていく。今の世の中人生100年とか言い、定年退職後、いかにコミュニティに溶け込むかとか、人は本来頼られてなんぼとか老後の生きがい論ばかり読まされているとこの短篇の市来の生き方の方が清々しく感じる。最後の一文、ー市来さんはまだ生きている。この短篇集の前半の神経症的な自伝的なものより後半の支那の話や「沼のほとり」などの近代伝説の方が物語性があって好みだ。豊島与志雄は東大の仏文を卒業、この時の卒業生豊島を含め2名とのこと、そんな時代に生家が没落したため高等遊民になれなかった男の憂鬱。

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2019年1月19日 (土)

リーガルハイのサンタクロース

最近、テレビ番組のDVDをみている。リーガルハイ1の8話サンタクロースの件。私の子供の頃、家には里見浩太朗の服部ではないがサンタクロースというシステムはなかった。しかし時代が進み古美門の子供の頃にはそのシステムがいき渡った時代だろう。しかし古美門家にはサンタは来なかった。彼にとってサンタの不在は当然であり、また寂しいことだった。なのに彼の父はサンタの不在を証明しろという。彼は本当はサンタに来て欲しかった、いて欲しかった。息子の出奔後、父はようやく子の心中を思いやることができ、服部をサンタとして息子にプレゼントする。いや服部は何の取柄もなくと言いながら本物のサンタクロースだったときがあったのかも知れない。

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2018年12月29日 (土)

『チェコSF短編小説集』ヤロスラフ・オルシャ・jr.編

11作からなる。チェコのみのSF集としては初めてだろう、たいてい東欧のくくりでSF、幻想小説、怪談とかの短編集の中に収められている。
・オーストリアの税関 レム的な皮肉とユーモア
・再教育された人々 題名が違うような。だけど日本の子供虐待や殺人事件、格差を知ると一概にディストピアものを否定できない気分。
・大洪水 チャペックらしい
・裏目に出た発明 こういう世界、ユートピアに住みたい
・デセプション・ベイの化け物 不幸なファーストコンタクト
・オオカミ男 ドウエル教授の首的な 
・来訪者 シマック 空は船でいっぱい
・わがアゴニーにて いい、養護ホームを氏族(クラン)に見立てたよう
・クレー射撃にみたてた月飛行 面白い、バラードの小説は思い出せない ハイハイハイ
・ブラッドべりの影 火星年代記とそれとレムの大失敗 読み応えある中編
・終わりよければすべてよし ユダヤの怨念はいつまでも

もっと新しいのが読みたい、そういえばミハイル・アイヴァスの「もういひとつの街」はチェコだった。いまいちだったので「黄金時代」は未読、そのうち・・・

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2018年12月26日 (水)

積読

Photo_2・時空間を打破する ミハイル・ブルガーコフ論 大森雅子
・丘の上 メランコリー幻想集 豊島与志雄
・交雑する人類 ディヴィッド・ライク
・不気味な物語 グラビンスキ
・宰相の象の物語 イヴォ・アンドリッチ
・チェコSF短編小説集
・奪われた家/天国の扉 コルタサル
・タイタス・アンドロニカス シェークスピア




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2018年10月26日 (金)

シェイクスピア11『ペリクリーズ』松岡和子訳・ちくま文庫読了

タイアの領主ペリクリーズの苦難の冒険。めでたし、めでたし。ハッピーエンドが好きです。昔の船はよく難破するな。

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